現代の食事作法 -家庭の教育と新しい方向性-

北海道文教大学 研究紀要 第31号 -2007年3月-

荒井 三津子、清水 千晶、中矢 雅明

Ⅰ.はじめに 経済企画庁が「もはや戦後ではない」と宣言してから50年、日本人の食生活は「豊かさ」を求めて「進化」してきた。外食産業の発展に続き、「中食」が注目されて久しい。「家族団らん」は神話に過ぎなかったのか、家族そろっての食事は少なくなった。食の簡便化が進み、孤食や個食などが問題視され、「共食の場としての家庭」の危機が叫ばれるようにもなった。それに伴って、「共食の場」を円滑に運営するルールである食事作法にも変化が生じてきた。
食事作法の変遷については、井上忠司・石毛直道編の「食事作法の思想」(1990)、および石毛直道監修の「食の情報化」(1999)、vesta(2001)が詳しい。上羽・古郡(2003)は本学の学生のマナーに関する実態調査を行い、学生たちがどのように食事マナーをとらえ、実践しているかを報告した。本稿は、本学の学生が家庭および学校給食の場面でどのような食事教育を受けてきたか、また、周囲の食事環境をどう受け止めているかを調査し、現代の食事環境で守られる「ルール」や期待される「作法」の意義や機能について先行研究に照らしながら考察した。

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